個人には決算期がない
大きな下落を目の当たりにすると「大損した」と思いがちだが、それは「含み損」であり、元値と現値の差は単なる机上の数字だ。売らない限り「実現損」にはならない。そこに四半期ごとに運用成績を査定されるプロの投資家との大きな違いがある。
値動きのある金融商品に対し同じ額を投じ続ける「ドルコスト平均法」なら、価格が下がれば買える量が多くなる。1000円の予算でリンゴを仕入れる時、1個100円なら10個しか買えないが、翌月同じリンゴが半額に下がれば20個買える。翌々月は逆に500円に値上がりすれば2個しか買えない。3カ月合計では投下資本3000円に対し手にしたリンゴは32個で単価は94円弱。1個100円に比べ仕入れコストは引き下げられている。簡単な算数だが、積み立て投資とは自動的にこの「コスト引き下げ効果」を発揮してくれる装置なのだ。つまり下げ局面が貴重な養分になる。
バブルの最高値から始めても積み立てなら利益
日経平均の値動きで見てみよう。バブル最高値(3万8915円)を付けた1989年から毎年毎年、NISAのつみたて投資枠で可能な年120万円の投資を続けたと仮定する。36年間の元本は4320万円に膨らむ。仮に高値圏で一括投資していれば3万6000円割れの水準では当然1割弱の損失を抱える。ところが積み立て投資の場合、下げ局面で増やした購入量の増加がモノを言う。2日の急落後の水準でも5000万円以上の大幅な含み益を持つ計算になる。このメカニズムに納得がいけば、時折訪れる荒れ相場は貴重な仕入れ機会と思えるはず。今売ってしまえばその機会を逸する。
とはいえ、荒れる相場のさなかで投資を始めるのは怖い。ちょっと落ち着いてからにしよう、そう思うかもしれない。だがあまり意味はない。何せ長期投資の毎月積み立てで考えれば、10年なら120分の1、20年なら240分の1のインパクトしかない。いくらで投資を始めるか、「始値」にはあまり意味はない。
詳細はソース 2024/8/4
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK025820S4A800C2000000/
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