【うわっ】タクシー運転手「資格も何もなくて、将来が心配なんですよ〜」客「司法試験、受けてみたら?」→結果…

編集元: 胸がスーッとする武勇伝を聞かせて下さい!(32)
タクシーの運転席が射場守夫(38)の勉強部屋だった。
定規と下敷き板で作った簡易机。
乗務の合間を見つけては、受験参考書に読みふけった。
定規と下敷き板で作った簡易机。
乗務の合間を見つけては、受験参考書に読みふけった。
高卒後、岡山で
「大好きな車の仕事を」
と、ガソリンスタンド店員や運転手を続けた。
給料の多くは車の改造に充て、家族を顧みない日々。
だが30歳を過ぎ焦りが募る。
「技術も資格もない。どうしよう」
偶然、乗せた客に
「どうせなら最難関の司法試験に挑戦してみたら」
と言われた。
「死ぬ気でやる」
と受験を運転手仲間に宣言。
「自分に酔っとんのか」
との周囲の冷ややかな反応に意地になった。
だが、3度目の挑戦も失敗。
「食っていくだけなら今のままでも」
と、何度もくじけそうになった。
そして昨年11月。
法務省のホームページを見る手が震えた。
7年間、5度の受験。合格者名簿に自分の名前があった。
文句も言わず支えてくれた妻に報いたい。
「転勤で迷惑をかけずに済む弁護士がいいかな」
射場は4月、司法修習生として人生の再出発を切る。
(2003年3月20日 日本経済新聞)